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サラリーマンが消費税の還付を受ける際の届出について

インボイス制度の開始に伴い「課税事業者選択届出書」の提出は必須ではなくなった

最終更新日:2023/9/8

不動産賃貸や太陽光売電事業を新たに開業されるサラリーマン(個人)の方が消費税の還付を受けるためには、開業年(開業年に物件等の引渡しがあった場合)の年末までに「消費税課税事業者選択届出書」を提出する必要がありました。

この「消費税課税事業者選択届出書」を提出することにより、本来消費税の納税義務が免除(と同時に消費税の還付を受ける権利もないものとされる)されていた事業者が課税事業者となり、消費税の還付を受けることができるというものです。

インボイス制度の開始に伴い、「消費税課税事業者選択届出書」を提出しなくても、課税事業者となることができるようになったのです。

制度が複雑ですべてを解説することは難しいため、ここでは「個人」に限定して簡易的にいくつかのケースをご紹介します。

※消費税法の届出回りの制度はかなり複雑なため、専門家へご相談することをオススメします。

届出書等の種類と提出のタイミング

1.サラリーマンの方(個人)が2023年1月~9月(インボイス制度開始以前)に開業し、2023年9月までに設備投資を行う場合

※この方法は2.3.についても有効ですが、いわゆる3年縛りを受けなくなるという点や、後出しができるという点であえて1.の方法を選択するメリットはないかと思います。

①提出する届出書等

消費税課税事業者選択届出書 ※適格請求書発行事業者の登録申請書(インボイス番号が必要な場合)

②提出期限

2023年12月31日

③課税事業者となるタイミング

2023年1月1日~

この場合は、2023年中に「消費税課税事業者選択届出書」を提出することにより、2023年1月1日から課税事業者となり、2023年中に行った設備投資について消費税の還付を受けることが可能です。

 

2.サラリーマンの方(個人)が2023年中に開業し、2023年10月以降に設備投資を行う場合

①提出する届出書等

適格請求書発行事業者の登録申請書(インボイスの登録申請)

②提出期限

設備投資(引渡し)の15日前 ※特例あり

※仮に設備投資の日を12月1日とした場合は11月17日が提出期限となります。

これには特例があり、2023年に限り9月30日までに提出すれば10月1日から課税事業者となることが可能です。

(国税通則法の休日の延長規定は適用されませんので、17日が土日祝日であっても17日が期限となりますので、

設備投資の目途が立ったら早めに提出しておきましょう)

③課税事業者となるタイミング

2023年12月1日~

 

3.サラリーマンの方(個人)が2023年中に開業し、2024年1月以降に設備投資を行う場合

①提出する届出書等

適格請求書発行事業者の登録申請書(インボイスの登録申請)

②提出期限

設備投資(引渡し)の15日前 ※特例あり

※仮に設備投資の日を8月1日とした場合は7月17日が提出期限となります。

③課税事業者となるタイミング

2024年8月1日~

適格請求書発行事業者の登録申請書を提出するメリット

消費税の還付を受けるために課税事業者になる必要がある場合に、「消費税課税事業者選択届出書」ではなく「適格請求書発行事業者の登録申請書」を提出するメリットには以下のようなものがあります。

1.設備投資の前年中(開業年を除く)に提出していなくても大丈夫

これが最大のメリットかと思います。「消費税課税事業者選択届出書」の場合は、原則として設備投資を行う前年末までに届出書を提出する必要があります(開業年は開業年の年末まで)

一方で「適格請求書発行事業者の登録申請書」の場合は、設備投資の15日前まででも間に合うのです。この違いは消費税の実務に携わっている身としては非常に大きいです。

 

2.いわゆる3年縛りの適用を受けない

免税事業者が消費税課税事業者選択届出書を提出し課税事業者となり、課税事業者となった年から2年以内に設備投資を行い調整対象固定資産(棚卸資産以外の資産で、一の取引単位の税抜き価格が100万円以上のもの)を取得した場合、その取得の日の属する課税期間の初日から3年以内は、「課税事業者選択不適用届出書」の提出と「簡易課税制度」の選択ができないとされています。

一方で「適格請求書発行事業者の登録申請書」により課税事業者となった場合には上記の3年縛りの適用はありません。

つまり、調整対象固定資産を取得して消費税の還付を受けた上で3年を待たずに免税事業者に戻ったり、簡易課税制度の選択をすることが可能ということです。

ただし、高額特定資産(一の取引の単位につき、課税仕入れに係る支払対価の額 (税抜き)が1,000万円以上の棚卸資産または調整対象固定資産)を取得した場合の3年縛りは受けることとなります。