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所得税率についてよくある勘違い

所得税の計算は「超過累進税率」が採用されている

最終更新日:2023/4/20

お客様や知人と税金の話をしていて、よく誤解されている方が多いのが、所得税の「超過累進税率」の仕組みについてです。

よく「年収が900万円以上になると一気に税率が上がるから、超えない方がいいんですよね?」というようなご質問をいただくことがあります。

まず、適用される税率は年収ではなく「課税される所得金額」によって決まります。

サラリーマンの方の場合は、給与の額面金額から給与所得控除を差し引いて、さらにそこから社会保険料控除や生命保険料控除、扶養控除、基礎控除等の所得控除額を差し引いた金額(千円未満切捨て)が「課税される所得金額」となります。

そして、その残額に対して超過累進税率(所得が高い部分ほど適用される税率が高くなる仕組み)を適用して税額を計算します。

この超過累進税率によって、900万円以上の部分にのみ高い税率が適用されることとなります。900万円以上になると全体に対して高い税率が適用されてしまう、というのは間違った認識となります。

具体的には次のように計算します。

具体的な計算方法

所得税の金額は、以下の「速算表」を使用すると簡単に求めることができます。

課税される所得金額 税率 控除額
1,000円 から 1,949,000円まで

5%

0円
1,950,000円 から 3,299,000円まで 10% 97,500円
3,300,000円 から 6,949,000円まで 20% 427,500円
6,950,000円 から 8,999,000円まで 23% 636,000円
9,000,000円 から 17,999,000円まで 33% 1,536,000円
18,000,000円 から 39,999,000円まで 40% 2,796,000円
40,000,000円 以上 45% 4,796,000円

この速算表を見ていただけばわかるとおり、いくら課税される所得金額が増えようが1,949,000円分までは5%の税率で計算されます。

■よくある勘違い

「課税される所得金額」が950万円のケース

9,500,000円×33%=3,135,000円→間違い

950万円全体を33%の税率で計算するのは間違いです。

 

■正しい計算方法

「課税される所得金額」×税率-控除額=所得税額

9,500,000円×33%-1,536,000円=1,599,000円

速算表を用いて控除額を差し引くことによって、1,949,000円までは5%、1,950,000円から3,299,000円までは10%と、それぞれの区分に応じた税率をかけて計算した税額の合計額を簡単に求めることができます。

※平成25年から令和19年までは、所得税とは別に復興特別所得税(その年分の基準所得税額の2.1%)がかかります。

所得税率はあまり気にしなくても大丈夫

このように、適用される所得税率が上がってしまうからといって一定のラインで稼ぎをセーブすることは所得税率の観点からはあまり意味がありません。

一方で配偶者控除や扶養控除、児童手当や医療助成等の所得金額に上限が設けられているようなものについては、限度額をオーバーしてしまうと恩恵が受けられなくなったり、減額されたりしますので注意が必要です。

また、住民税について住んでいる地域によって税率が異なる(「〇〇市は住民税が高いんですよね?」等)という勘違いをされている方も多いですが、基本的には住民税は全国一律10%です(特別に税率が0.数パーセント上乗せされていたり、均等割等で数百円程度の差があったりすることもありますが他よりも「高い」と感じるような金額にはなりえないでしょう)

国民健康保険料については自治体によって結構な差が出ますので、おそらくそれらと合算して考えてしまっているのかもしれませんね。いずれ住民税についても解説してみたいと思います。